退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

K-1イベントの「自粛要請」で思ったこと

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、国や埼玉県が開催の自粛を求めていたK-1の大規模なイベントが、予定どおり22日にさいたまスーパーアリーナで開催された。

感染拡大を防ぐためには、こうしたイベントを中止するのが好ましいのは間違いないのだろう。しかし、これを国や埼玉県が上から目線で「自粛要請」するのは筋がちがうのではないか。

主催者の立場からすれば、「自粛」してイベント開催を取りやめれば、多額の損失を被ることになり、会社の存続にも関わることもあるだろう。選手やスタッフが路頭に迷うことにもなりかねない。簡単に飲める話ではない。

国や埼玉県が本気で開催を阻止するつもりがあるならば、「自粛要請」ではなく法的拘束力のある手段を行使すべきだろうし、主催者がカネの問題で自粛できないのであれば、公的な資金を投じても補償するという条件を提示するべきだった。

国や埼玉県は、火の粉のかからない安全な場所から「自粛要請」を連呼するだけでまったく役に立たなかった。とくに埼玉県は「イベント中止で生じる一切の損失は埼玉県が補償するから、どうかイベントを中止してほしい」ぐらい言えなかったのか。

大野元裕埼玉県知事はイベントについての「自粛要請」が受け入れなかったことに、以下のようにツイートしている。

これには「やってますアピール」というか、責任回避したい気持ちが滲んでいるように見えた。感染が拡大の責任は一義的に行政が負うという覚悟が感じられない。

本気でイベントを中止させるつもりがあれば、他に取りうる手段があったのではないか。そもそも「さいたまスーパーアリーナ」は、埼玉県も出資する第三セクターが運営している。どんな契約なのか知らないが、埼玉県は訴訟覚悟でも会場を封鎖するなどの手段で止めてほしかったというが率直な気持ちである。

最近の欧州のコロナウイルス対応を見ていると、日本は本当にのんびりしている。フランスでは外出制限が出ているというし、イタリアではロックダウンしている都市もある。それなのに日本では「自粛要請」とは生ぬるい。もう「バカなの?」と言いたい。

このK-1イベントには、6500人が訪れたという。今後、このイベントがクラスタになったら埼玉県はどう責任を取るつもりなのか知事に聞いてみたいものだ。

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