退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『不良番長 突撃一番』(1971) / 「不良番長」シリーズ第13作

新文芸坐の《さらば銀幕の番長 追悼・梅宮辰夫》で映画『不良番長 突撃一番』(1971年、監督:野田幸男)を鑑賞。梅宮辰夫の代名詞といえば「不良番長」。追悼となればこれは外せない。

もともと二本立てのメイン以外の埋草的な作品だったが、振り返れば全16本も製作される人気シリーズになった。当時のフーゾクをこれまでかとばかりに詰め込んだ低予算の娯楽映画。ノスタルジーの要素を除くと、いま見て面白いかと訊かれれば正直ビミョー。しかし得体の知れない勢いだけは伝わってくる。


「不良番長 突撃一番」予告編

梅宮率いるカポネ団は本拠地・新宿を飛び出して、金毘羅で知られる四国・高松でブルーフィルム(死語)の製作で一儲けを企む。まあ「寅さん」の舞台にでもなれば地元は大歓迎だろうが、こんな品性下劣な映画が来ても地域振興にはならないし、当時どう思われていたのだろうか。それでも四国のタイアップ先の映像が多数登場するし、ロケ映像は美しい。ロケ地の宴会はさぞかし盛り上がったことだろう。

シリーズ末期の作品でマンネリ化してきたのか、コメディ色が濃厚になってもう収拾がつかない。番長が唄い踊る「ウッシッシ節」は、クレージーキャッツの映画かと思うほど。まあ面白ければそれでいいというタイプの映画だ。

上映終了後、ロビーで「みんな死んじゃったね」と話していた女性がいたが、まったくそのとおり。梅宮辰夫のほか、山城新伍渡瀬恒彦地井武男などみんな鬼籍に……。番長亡き後、この「不良番長」シリーズも上映される機会も少なくなりそうだ。

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