新文芸坐の《さらば銀幕の番長 追悼・梅宮辰夫》で映画『夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルース』(1968年、監督:村山新治)を鑑賞。「夜の歌謡」シリーズ第4弾。
青江三奈のヒット曲「伊勢佐木町ブルース」に乗せて、港町横浜を舞台に5人の男女の激しい情事を描いたメロドラマ。
“オープン屋”を稼業にする宮田(梅宮辰夫)は、土地成金の大倉(伴淳三郎)からのバー開店依頼をふたつ返事で引き受ける。その大倉の出した条件は、バーのママになる女を二号さんにするというもの。宮田は酒場のホステル・れい子(宮園純子)を口説いて、新しいバーを開店する。しかしれい子は二号になる話を聞いておらず、宮田はあっさりフラれてしまい怒り心頭。そんなおり、れい子のヒモだったヤクザの竹村(吉田輝雄)が出所してきて大騒動が起こる……。
- アーティスト:青江三奈
- 発売日: 2013/07/31
- メディア: CD
「夜の歌謡」シリーズというが、「伊勢佐木町ブルース」が挿入歌として流れて、青江三奈が口パクで画面に登場する程度で、ストーリーにはまったく絡んでこない。歌謡映画というジャンルは古くからあるが、本作は歌手が主演しておらず、ヒット曲をヒントにして比較的自由に製作されたと思われる。そのため肩に力が入っておらず観客も気軽に見れる作品になっている。
「伊勢佐木町ブルース」をモチーフにムードたっぷりの映画に仕上がっているし、主演の梅宮辰夫と伴淳三郎の掛け合いが楽しい。ストーリーもなかなかよくできている。娯楽映画として優れている。
出演者のなかでは宮園純子が目を引く。水商売の女を演じてなかなか艶っぽい。宮園は、後に人気時代劇シリーズ「水戸黄門」で霞のお新役で、風車の弥七(中谷一郎)の女房を演じているが、現代劇ではこんな感じだったのかと意外な発見がある。これも映画の見どころのひとつだろう。