退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『夜の歌謡シリーズ 命かれても』(1968) / 「夜の歌謡」シリーズ第3弾

新文芸坐の《さらば銀幕の番長 追悼・梅宮辰夫》で映画『夜の歌謡シリーズ 命かれても』(1968年、監督:鷹森立一)を鑑賞。「夜の歌謡」シリーズ第3弾。森進一のヒット曲「命かれても」に乗せておくる歌謡映画。

夜の歌謡シリーズ 命かれても [DVD]

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  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: DVD

クラブのボーイ・渉(梅宮辰夫)は夜の巷を上手く渡り歩くプレイボーイ。いわばスケコマシ(死語)だ。客に頼まれて若い女をひっかけては客に取り次ぐことを仕事にしていた。「千人斬り」を目指す野長瀬社長(伴淳三郎)は、スナックで知り合った女子大生・千津子(城野ゆき)を熱を上げるがドライな千津子は巧みに誘いをかわしていた。渉もそんな千津子にアタックするもあっさりフラレてしまう……。そうしたなかレストランの御曹司・新二(伊丹十三)がライバルとして登場した……。


「夜の歌謡シリーズ 命かれても」(公開年月日 1968年10月25日)  予告篇

例のごとく森進一は口パクで映像に登場するがストーリーにはまったく関係がない。出演者で注目すべきは、梅宮のライバル役として登場する伊丹十三。キザなボンボン役がはまっている。ほかにはヒロインの城野ゆきもキュートで魅力的。劇中に歌を披露している。

命かれても

個人的には大好きな松岡きっこが出演していることにも加点したい。エキゾチックな顔立ちとロングヘアーは今でも十分通用する。劇中ではデバートに務めるOL役で、梅宮と一夜をともにして朝には死んでるというかわいそうな役どころ。

渉が千津子にプロポーズするために集めた大金を新二が燃やしたうえに、従業員たちに命じて渉を袋叩きにする。千津子はそんな新二と結婚して飛行機で新婚旅行に旅立つ一方で、渉は暴行のため重傷を負い、車椅子に乗りながらスケコマシ稼業を続けるという救いようのないラスト。主役の梅宮辰夫が大逆転しないで惨めな姿で映画が終わるのは余韻があってなかなかい。

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