総務省が、「マイナンバーカードを活用したポイント還元制度」を本気で実施するつもりのようだ。期間は今年9月から半年間を予定。3月末まで参加する決済事業者を募集している。
これは「マイナポイント事業」と呼ばれる国策であり、当然国費でポイント還元する。事業の概要は以下の動画を参照してほしい。「マイナポイント」というネーミングがいかにも軽い。
昨年秋の消費増税に対する景気対策の一環だと強弁して国費を使ってポイント還元を実施したときも効果には懐疑的だったし、どこか違和感があった。それでも私自身も少しは恩恵に受けているので、まあいいかと思っていた。
この事業のねらいはマイナンバーカードの普及だろうか。正直意味がわからない。マイナンバーカードが普及しないのは利用者にメリットがないからだ。本来、マイナンバーカードを活用して「行政ポータル」のようなサービスが、行政から提供されて国民の利便性が高まるというのが本筋だろう。
mynumbercard.point.soumu.go.jp
マイナンバーカードをつくるメリットがあれば、利用者はその手間と天秤にかけて交付申請するはずである。にもかかわらず、本筋をないがしろにして今回にようにポイント還元で釣るというのは不健全に思える。
この「マイナカード事業」は、目先のメリットをわかりやすく享受できるので、マイナンバーカードの普及は促進されるかもしれない。しかし、その先にあるマイナンバーカード活用のビジョンがまったく見えてこない。これでいいのだろうか。
こんなポイント還元に予算をつけるのなら、「行政ポータル」のような本筋のサービスの開発に投資してほしいものだ。