5日に投票が行われたギリシャの国民投票において、EUなどがが求める財政緊縮策への反対が大きく上回った。チプラス首相は勝利宣言し、民意を背景にEUとの交渉を再開し新たな金融支援を取り付けたい考えを示した。
国民投票の結果
まず今回の投票結果を見てみよう。EUなどが金融支援の条件としている財政緊縮策の受け入れに「反対」が61パーセント、「賛成」が38パーセントで、反対が賛成を大きく上回った。投票率は63パーセントだったが、自国の命運が懸かった方針を決める投票にしては低いように思うが、もう匙を投げている人も多いのだろうか。
国民投票後、国民は大喜び
国民投票のあと「反対派」が勝利が報じられたあとのギリシャは、まさに「お祭り騒ぎ」だった。これを見ると「おまいら喜んでいる場合かよ」と思うが、民衆は国民投票の意味を本当に分かっていたのだろうか疑問である。
統一通貨ユーロの終焉につながるのか
EUそのものが壮大な社会実験とも言えるが、統一通貨ユーロの問題点も明らかになったのが、今回のギリシャ問題である。財政政策は各国が担うのもかかわらず、統一通貨を導入しているため独自の金融政策を実施できないという致命的な欠陥が露呈した。ユーロ圏各国には通貨発行権がないということだ。
日本が極端な金融緩和でデフレを脱出したことについては様々な考え方があろうが、日本独自の判断で金融緩和を行うことができるオプションがあったことは覚えておく必要があるだろう。
こうした構造的な問題は簡単には解決しない。詳しくは述べないが、経済力のある国が恩恵を受けて、経済力のない国は割を食うことになる。またドイツ人からすれば、「なぜギリシャを助けるのに我々の税金を使うのか?」と思うのもも仕方ない。
こうしてEU各国に不信感が芽生えれば、ユーロは成り立たないし、ひいてはEUの理念も危うくなる。
やっぱり国民投票はダメだな
ともあれ、ギリシャ国民は、今回の国民投票でEUなどが求める財政緊縮案に「NO!」を突きつけた。このあとギリシャが、EUなどとどのような交渉をするのか分からないが、国内のユーロがどんどん国外に流出していく事態はまったなしだ。
まあいくれギリシャが落ちぶれてもさすがにEU内で餓死者が続出することはないだろう。しかしギリシャ財政が破綻して国際的な「人道支援」を受けて生き延びても、これはギリシャの「尊厳」を守ったことになるのだろうか。
まあギリシャ国民の選択だから自己責任なのだが、やはり素人が投票する国民投票で重要な政策を決定するのは問題があるように思った。民主主義の限界を見た気がする。