スペイン北東部のカタルーニャ州(州都:バルセロナ)で27日、スペインからの独立の是非を争点にして行われた州議会選挙で、独立を唱える政党が議席の過半数を稼得した。
この選挙結果をもって、ただちにカタルーニャが独立に動き出すわけではないが独立運動のターニングポイントであることは間違いない。独立派が勝利宣言する一方で、スペイン州政府は「独立は憲法違反であり独立は認められない」と主張している。
最近、ギリシャ危機やシリアからの難民問題でEUが抱える様々な問題が露呈するなか、民族自決に基づき既存の国家からの独立を目指す動きが顕著である。昨年9月にスコットランドの独立を問う住民投票で独立が否決されたことは記憶に新しい。
これ以外にもヨーロッパには分離独立の動きが多くの地域でみられる。
カタルーニャがスペインの支配下になったのは、スペイン継承戦争(1701-1714)に遡る。カタルーニャ公国はハプスブルク家のカール大公を担いで、反フランス同盟の一員として参戦するも敗退する。その結果、スペインの支配下になり、一定の自治権を得たり失ったりするがスペイン政府への不満を抱えながら現在に至る。
このような複雑な歴史的経緯を持つのがヨーロッパの魅力でもあるが、いまなお独立を目指す民族が多数いる所以でもある。
カタルーニャの独立運動の行方は予測できないが、カタルーニャが独立を主張し、スペイン政府がこれを認めないとなると、どう決着をつけるのだろう。
昔ならば独立戦争になるのだろうが、現在のEUでそうした事態は考えられない。他人事ではあるが、この独立運動をどのように白黒つけるのか興味は尽きない。
また、やや荒唐無稽な話になるが、ネットではカタルーニャの独立を、沖縄の日本からの独立に重ねる論調も多々見受けられる。沖縄でどのくらい独立論が盛り上がっているか知らないが、日本政府の掲げる安全保障政策にことごとく反対する沖縄県の姿勢はいつ独立運動が高揚しても驚かない。
その場合、まさか日本に対して独立戦争を挑んでくることはないだろうから、沖縄独立論を真剣に考えている人たちにカタルーニャの事例はとっては国際社会で平和裏に独立を獲得するためのケーススタディになるかもしれない。
また本筋とは大きく離れるが、今回の選挙結果を受けてサッカーファンが「FCパルセロがリーガ脱退か!?」と盛り上がっているのも目立つ。民族自決による独立が問われているのに、たかが球蹴りがどうなるかを心配するのには呆れた。サッカー脳は御しがたいなとあらためて思った次第。