今年前半に起きたニュースをランキングした記事を読んだ。そのなかに2015年1月7日に起こった、風刺週刊紙の発行元が武装したイスラム過激派に襲撃された「シャルリー・エブド襲撃事件」があった。
かなり前に起きたものだと思っていたが、まだ半年前の事件だ。シャルリー・エブド紙に掲載されたイスラム過激派を挑発する風刺画が事件の発端だとされ、報道と表現の自由をめぐる議論があったことは記憶に新しい。
何はともあれ一次資料である風刺画にあたらなければ話にならない、と思い検索してみると下記の書籍があった。 同紙が掲載してきた風刺画にはヘイト表現との境界線上のものもあると考え、どのような表現なら認められるのか問題提起を目的とした一冊とのこと。ブックレットのような薄い本でお値段も手頃。
この本にはイスラム関係の風刺画のほか、フランスの国内政治、EU関連、カトリック関連の風刺画も掲載されている。日本関連では、福島第一原発事故にまつわる風刺画もあった。どれもお世辞にも上品と言えないが、表現の自由だと言われればそうかもしれない。それにしても日本の新聞の風刺画は冴えない。あらてめて文化のちがいを感じる。
風刺画に加えて専門家らの短い寄稿文が添えられているが、「言論の自由」と宗教といった大きな問題を扱うにはまったく物足りない。それでも風刺画そのものに気軽に触れることのできる一冊としては貴重と言えよう。