退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

尾瀬あきらによるコミック「夏子の酒」を読了する

少しずつ読み進めていた尾瀬あきらの人気コミック「夏子の酒」を読み終わる。本作は1988年から1991年にかけ漫画雑誌『モーニング』に連載され、1994年には和久井映見主演でテレビドラマ化されている。

(あらすじ)新潟の造り酒屋の娘・佐伯夏子は、東京の広告代理店でコピーライターとして働いていた。実家の佐伯酒造は、兄・康男が幻の酒米「龍錦」を使った酒をつくるべく奮闘していたが、志半ばで病死する。生前兄から目指すべき日本酒について聞いていた夏子は、兄の夢を引き継ぐため実家に戻り、酒造りに取り組むことを決意するが……。

夏子の酒 文庫版 全12巻完結セット 尾瀬あきら 講談社漫画文庫

酒造りするのに米作りから取り組むに驚く。そのため日本の米作り、ひいては農業問題に言及している。さらに三倍増醸酒純米酒など日本酒業界の抱える問題が明らかにされる。漫画「美味しんぼ」でも同じような問題提起がされていたが、本作のほうがより訴求力があるように感じられた。

伝統的な日本酒の製法が詳細に描かれているのも興味深い。ただし漫画だけでは、どうもピンと来ないところも多い。やっぱり映像で見たいところ。テレビドラマ化ではきちんと映像が撮れたのだろうか。

とにかく登場人物の酒造りに情熱に圧倒される。夏子なんてある意味狂人じみている。まあこれで成功しなかったら収まりつかないわな、と思ったが、そのとおり予定調和というか、ついには見事な「夏子の酒」ができる。さらに、じっちゃん(杜氏)の死を背景に見事にエンディングを迎える。これほど綺麗に終わる漫画はなかなかない。いまの時代の漫画にはない純粋さを感じた。

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余談だが、コミックの巻末でテレビドラマに触れた巻があった。和久井映見の写真が大きく載っていたが、新潟のロケ地で丹念に撮るということだったが、どんな映像だったのだろう。映画とちがい過去のテレビドラマを見ることが難しいことが多い。ちなみにドラマでは草壁役を萩原聖人が演じていて、のちに主演の和久井と結婚して一子を設けている。まさに「人生いろいろ」である。