退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『Dr.コトー診療所』(2022) / 模範的な同窓会映画

新春、フジテレビで放送された映画『Dr.コトー診療所』(2022年、監督:中江功)を鑑賞。原作は山田貴敏による同名漫画。フジテレビでテレビドラマ化され、2003年、2006年に放送されて好評を博した。本作は16年ぶりに劇場映画として制作された完結版。主演は吉岡秀隆

テレビドラマシリーズのキャストやスタッフが再集結して制作された典型的「同窓会映画」である。テレビドラマは大変な人気だったので、待ち焦がれていたファンも多いだろう。スマホ画面越しに登場するキャストもいたが、概ねキャストが集結できたのは素晴らしい。ただし私が好きだった桜井幸子の出演はなし……。


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原作漫画は長らく休載中なので、本作はオリジナル脚本。物語は五島健助(吉岡秀隆)は、数年前に星野彩佳(柴咲コウ)と結婚しており、彼女は妊娠7ヶ月という設定から始まる。まあ結婚するだろうなと思ったが、ブランクありすぎなので仕方ないが、島での結婚式の様子は見たかった。

テレビドラマの後、私が気になっていたのは、医師を志し本土の中学校に進学した原剛洋(富岡涼)の行く末である。元子役で既に引退していた元子役の富岡涼が本作のために役者に復帰したと聞いたとき、「やっぱり剛洋が医者になったか気になるよね」と思ったものだ。

この映画では28歳になって島に帰ってくる。医者になったかと思いきや、医学部で留年して奨学金を打ち切られてドロップアウトしていた。ある事件の参考人になり、警察に追われるように島に逃げ帰る。よく帰れるよなと思ったが、五島の献身的な医者としての姿を目の当たりにして覚醒。ラストでは医学部に復学した姿が描かれる。学費はどうしたんだとも思ったが、明るい結末でなによりだった。

一方、すっきりしないのは五島のラスト。急性骨髄性白血病に罹患した体で、台風の影響により次々に搬送される救急患者たちを治療するなかで倒れてしまう。はやく東京の大学病院で治療受けろよ、と思いながら見ていたが、最後は「あしたのジョー」のように灰になってしまう。はたまた幽霊なのか……。解釈は観客に委ねるということだろうか。もやもやする。

まあオールスターの同窓会映画として、テレビドラマシリーズのファンである私は満足したが、テレビドラマを知らない人が映画を見ると「なんじゃこりゃ~」ということになるだろう。良くも悪くも同窓会映画である。