退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

柴門ふみのコミック『同窓生 人は、三度、恋をする』を読む

柴門ふみのコミック『同窓生 人は、三度、恋をする』(新装版・上下巻)を読了する。

離婚して、長年務めていた大手化学会社を辞めて、実家のクリーニングを継いだ柳健太は、中学校の同窓会で25年ぶりにクラスメートと再会する。そのなかに友人の桜井遼介、広野薫子、そして彼女だった鎌倉あけひがいた。この4人で同窓会の幹事をやることになり交流を再開する。急速に親しくなっていく4人。そんななか健太は、あけひのことが気になり始めるが……。

「40歳から始まる恋」がテーマのラブストーリー。40歳という年齢を的確に描いているのかどうかわからないが、一気に読んだがストーリーはなかなか面白い。

高学歴である筆者らしく、登場人物は優秀なキャラクターが多い。今回も化学の研究者として渡米する健太や、学士入学で医学部に編入する遼介、そして薬剤師の薫子。いずれもエリートと言ってよいが、そのなかであけひだけが高卒で美容師である。

まあ個人的には中学校の同窓会では、大学に進学した集団と、そうでない集団は決定的に分断されていた記憶がある。本作のあかひはコンプレックスを滲ませる場面もあるが4人のなかに溶け込んでいたのが印象に残る。

強烈なキャラクターだなと思ったのは、薬剤師の薫子。付き合った遼介のケータイの電話帳から女性名の登録を勝手に削除したり、遼介の自宅前で張り込み奥さんをチェックしたりとかなり怖い。これはいよいよ修羅場かと期待を持たせるが、あっさり身を引いて遼介の子どもと産んでシングルマザーとなる。しっかり薬局を開業しているのもなかなかのやり手だ。

さて健太は、アメリカから帰国後、会社を辞めて高専に教員の職を得る。その高専にあかひの血のつながらない息子が通い始める。まあなんという偶然……。

4人のなかには既婚者もいるわけで、もっと4人の関係がドロドロになるかと思いきや、意外にあっさりしていた。タイトルの「人は、三度、恋をする」が回収されるラストも明るくて読後感は悪くない。

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本作はテレビドラマになっているが未見。ちなみに怖い薬剤師を演じているのは板谷由夏である。ちょっと見てみたいがテレビドラマは映画とちがい見たいときにすぐに見られないのが難点である。

同窓生~人は、三度、恋をする~ DVD-BOX