退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

田中邦衛主演の伝説のテレビドラマ「北の国から」を見終わった

数か月前から伝説のテレビドラマ「北の国から」(全24話)をDVDで見始めて、少し前にようやく全話見終わった。「北の国から」はフジテレビで1981年から1982年にかけて連続ドラマとして放送された。原作・脚本は倉本聰。主演は田中邦衛

見どころは数多あるが、いちばん気になったのは純(吉岡秀隆)の心境の変化である。両親の離婚をきっかけに、突然北海道のど田舎に連れて行かれた都会育ちの小学生・純。かなり極端な設定だが、電気もなく、当然テレビもないあばら家に住むことになる。急に不便な生活を強いられることになった純が富良野の環境にいかに順応していくかがポイント。

連続ドラマでは、純は二度だけ北海道から東京に戻る機会がある。一度目は母親(いしだあゆみ)が病に倒れて入院するとき、そして二度目は母親が急死して葬儀に出席するときである。

一度目に帰京したとき、東京時代の学校の友だちたちと再会するが、わずか半年ほど東京を離れただけなのに、音楽やゲームなどの流行モノにまったくついていけない。さらに勉強でも都会の子どもたちは英語を習うなど、北海道の田舎とは比べものにならないほど大きく差をつけられていた。純はカルチャーギャップに愕然とする。母親から東京で暮らさないかと誘われるが、悩んだ末に富良野に戻ることを決意する。

二度目に帰京するのは母の葬儀。東京時代の小学校の先生と再会するが、純は先生の話に違和感を感じる。もう別世界の人間になったことを再認識する。さらにナレーションで「拝啓、恵子ちゃん」を彼女うに向けて語りかけていた恵子の家を訪ねてみると、家が跡形もなくっていた。家族で渡米していることを知りショックを受ける。

今回見終わった連続ドラマの放送後、ドラマスペシャルとしてシリーズ化され、8編のドラマスペシャルが1983年から2002年まで放送された。富良野を舞台に北海道の雄大な自然の中で田中演じる主人公・黒板五郎と2人の子ども(吉岡秀隆中嶋朋子)の成長を21年間にわたって描くという壮大な構想がすごい。

この後、東京と富良野の間のギャップがどのように描かれるのか、そして純はどのような人間として育っていくのだろうか。引き続きドラマスペシャルを見て確認したい。

余談だが、ちびちびと「北の国から」を見ているときに、田中邦衛の訃報が届いた。驚いたが運命のようなものを感じた。田中邦衛の代表作というのにふさわしい濃厚な作品である。もうこのような本気のテレビドラマがつくられることはないだろう。昭和の遺産である。