昨年度に実施された大学入試から、「大学入試センター試験」に代わり「大学入学共通テスト」が導入された。大学入学共通テストの目玉とされていたのは、国語・数学での記述問題の導入や、英語での民間試験の活用だったが、どちらも導入が断念される見通しとなった。
このニュースによれば、大学入試の在り方を検討する文部科学省の有識者会議が、英語民間検定試験と記述式の導入にして「実現は困難と言わざるを得ない」とする提言案を示した。文部科学省は、今夏に導入断念を正式決定するとの見通し。
その理由は、以下のとおり。
英語民間検定については、試験会場が都市部に偏在して地方での受験機会が制限される他、高額な受験料の補助が不十分で困窮家庭の受験生が不利になるとし、約50万人が志願する共通テストの枠組みで活用するには「課題を克服することは容易ではない」と結論付けた。
また記述式については、(1)民間業者が質の高い採点者を確保できるのか(2)受験生が正確に自己採点するのは難しいのではないか-といった疑問点が解消できていないとした。
「え、これって最初からわかってたよね」と誰しも思うだろう。呆れた。
この課題を克服する目算があり、困難を克服しても導入する価値があるということで「大学入学共通テスト」が導入が決定されたのではないのか。これで「大学入学共通テスト」の大きな柱が失われたことになった。
導入断念を正式決定するからには、これまでの試験制度改革を決定した経緯の総括して、責任の所在を明らかにしてほしい。大学入試は人生の大きなイベントであり、受験生を混乱させた責任は重大である。
当時の意思決定の責任者たちが、業者の利権と結びついていたのではないかという疑念を持たれても仕方ない。やれやれ。