退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

怪我の功名:大学入試の英語民間試験の導入が延期される

来年度から現行の大学入試センター試験に代り、新たに実施する「大学入学共通テスト」の目玉だった英語の民間試験導入の延期が決まった。


英語民間試験の導入を延期

これまでも多くの問題が指摘されていた民間試験の導入だったが、文科省は強行する構えをみせていた。しかし萩生田文部科学大臣の「身の丈にあわせて頑張って」という無責任な発言により、この入試改革の問題点に世間の注目が集まり、一気に情勢が一転して延期に追い込まれた。共通ID申請が始まるというギリギリのタイミングだった。

この文科相の「身の丈発言」は、大臣の本音が出たものだろうが、大臣たるもの本音と建前を使い分けるぐらいことはできないと困る。これができない政治家は閣僚になってはいけない。

それでも、もともと問題点の多い民間試験の導入が、ポンコツ大臣の「身の丈発言」により延期されたことは僥倖というべきだろう。この際、民間試験導入の是非まで立ち返って議論するいい機会とよいだろう。まさに「怪我の功名」というべきだろう。

民間試験導入の問題点については何人もの英語教育の専門家が警鐘を鳴らしているが、わかりやすくまとまっているのは、『検証 迷走する英語入試――スピーキング導入と民間委託』(岩波ブックレット、2018年)だろう。すぐに読み終えることができる薄い本である。

この一冊を読んだだけでも、いかに今回の英語の入試改革が理屈に合わないものかよくわかる。所得格差、地域格差などをそのひとつに過ぎない。大学側もよく考えて民間試験の結果を使うかどうか決めてほしい。

検証 迷走する英語入試――スピーキング導入と民間委託 (岩波ブックレット)