養老孟司, 茂木健一郎, 東浩紀による鼎談集。戦後日本の論点を3人が徹底討論。まあ床屋談義というか、議論が噛み合わないところも多いが、ときおり、ハッとさせられる。
日本経済が30年以上も停滞して、日本が衰退に向かって落ちぶれていく理由の一端がわかる気がする。タイトルのとおり、日本は歪みだらけである。安全保障、天皇制度、憲法などなど……。誰しもこのままではダメなのはわかっているはずなのに、一向に変えようとするそぶりが見られない。
論点は多岐にわたっているが、なかでも興味深かったのは「大地震が日本の転機になってきた」という指摘。ちょうど本書を読んでいるときに、「令和6年能登半島地震」が発災したので心に刺さった。
なるほど、「安政の大地震」「関東大震災」など、地震を契機に日本社会が変容してきた事例には事欠かない。まあ日本は地震が多いから、別に不思議ではないとも言えるが妙に納得した。
ただ地震と言っても、日本が中枢が破壊されるような地震でなければいけない。東日本大震災などは被害は甚大だったが東京の被害は軽微だったので当てはまらないし、今回の令和6年能登半島地震も東京では平気で箱根駅伝やってるぐらいなので当てはまらない。
そのうち首都を直撃する地震は起こることは間違いない。そのときに日本がどう変わるだろう。そんなことを思いながら読んでいた。
あと養老さんだけは、戦前の記憶があり、その後、大学教員として学生運動を経験している。その当時の話は実に面白かった。どんどん戦前生まれの人は少なくなり、直接戦前の話を聞くことができるのも、あとわずかだろう。
鼎談なので読むのはやや難儀なのだが、ベストセラーになるだけのことはある。移動中に少しずつ読み進めるとよいだろう。オススメです。