DVDで映画『陽のあたる場所』(1951年、監督:ジョージ・スティーヴンス)を鑑賞。出演はモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーなど。古き良き時代のアメリカ映画。映画の原題はA Place in the Sunだが、原作小説のAn American Tragedyから改題したのはよいセンス。白黒映画。
野心家ながらコンプレックスに悩む青年ジョージ(モンゴメリー・クリフト)は、水着工場を経営する叔父を訪ねて、彼の工場に職を得る。ジョージは、工員の女性アリス(シェリー・ウィンタース)と関係を持つ一方、金持ちの令嬢アンジェラ(エリザベス・テイラー)とも愛し合い、結婚までを考えるようになる。しかしアリスの妊娠が発覚してジョージの人生の歯車が狂い始める……。
後半、ジョージはアリスとともに湖に行きふたりでボートに乗る。アリスが急に立ち上がったことでボートが転覆してアリスが事故死する。事後処理がマズかったこともあり、ジョージは殺人罪で裁かれて死刑判決を受ける。ジョージは、アリスの死を望んだ「心の罪」があったことを諭されて、死刑を受け入れて死んでいく……。
こう言っては身もふたもないが「よくある話」であり、道徳的であり説教臭く映画でもある。後半の悲劇も、使い古された感があり今見ると感動することはない。まあだれでも地味子よりエリザベス・テイラーを選ぶよね。
ストーリーはともかく、見るべきところは映画の演出手法だろう。新聞・ラジオの使い方、計算され尽くされた構図など唸らせる場面が多い。映画としての完成度は高い。全体的に古臭さは感じるが映画の文法の勉強にはなる。
一方、普遍性があるのはエリザベス・テーラーの美貌。これは時代を超えている。白黒映画なのが惜しい。
余談だが、この映画をいまさら見直したのは、テレビドラマ「北の国から'92巣立ち」のなかで引用されていたから。黒板純(吉岡秀隆)が東京で働き出して付き合い始めたガールフレンド・松田タマコ(裕木奈江)が妊娠したときに、純に薦めた古いハリウッド映画がこの映画だった。怖い。しかも妊娠がバレたあと、純は、すごい形相のタマコの叔父(菅原文太)にぶん殴られる。こっちも怖い。別にレイプしたわけでもないのに理不尽だと思ったものだ。