8月末で閉館する新橋ロマン劇場で、にっかつロマンポルノを3本見てきました。閉館まで少し時間がありますが、おそらく新橋文化劇場・新橋ロマン劇場で見る最後の映画です。これまでお世話になりました。
最後に見たのは次の3本。どれもエロの要素を別にしてもフツーの映画としても楽しめる作品です。長年の歴史を持つロマンポルノ作品は玉石混交ですが、いまでも十分に鑑賞に耐える映画がたくさんあります。名画座などで定期的に上映企画が行われる所以でしょう。
夢野久作の少女地獄(1977年)
夢野久作の小説『少女地獄』の映画化作品。現在は『火星の女(夢野久作の少女地獄)』としてソフト化されています。
舞台は名門女子学園、校長に乱暴されて妊娠した学生が友人とともに校長に復讐するといった話ですが、小説の一部を映像化したせいなのか、話がやや分かりにくい。主演は小川亜佐美と本作品がデビュー作となる飛鳥裕子。
二人が女子高生役というのは、いま見るとどうしても無理があります。それでも、二人が全裸で大きな白い風船と戯れるシーンなどは幻想的で印象に残ります。雰囲気を楽しむ映画でしょう。
- 出版社/メーカー: アップリンク
- 発売日: 2003/03/28
- メディア: DVD
Mr.ジレンマン 色情狂い(1979年)
柄本明、高田純次、ベンガルほか、劇団・東京乾電池の初期のメンバーが出演したスラップスティック・コメディです。ロマンポルノでは通常は女優さんがメインですが、この作品の主演は、いまや紫綬褒章を受章して押しも押されもせぬ大俳優となった柄本明でしょう。
内容はオゲレツかつ場当たり的なギャグが連発する異色のコメディで、東京乾電池の面々が、日向明子ら女優たちをすっかり食ってしまうという異色作です。にっかつロマンポルノがいかに自由な雰囲気で制作されていた証左でしょう。
この作品を最初に見たのは、今はなき渋谷パンテオン(東急文化会館内)で、2001年に開催された日活ロマンポルノのオールナイト・イベントでした。そこの大きなスクリーンで上映されたこの作品がとても衝撃的だったことを覚えています。
- 出版社/メーカー: アップリンク
- 発売日: 2003/12/16
- メディア: DVD
桃尻娘 ラブアタック(1979年)
橋本治の小説を原作とする「桃尻娘」シリーズの第二弾。竹田かほりと亜湖の主演コンビで第3作までつくられました。亜湖の前髪パッツンの個性的な顔がいい味を出してます。
本作では主演二人の露出は少なくソフトタッチの作品に仕上がっています。代わりというわけではありあませんが、原悦子がピンクサロンのNo.1ドヌーブ役で出演しているも見どころです。
このシリーズは、普通に青春映画としても成立すると思います。いまから映像化しても楽しい作品になるのではないでしょうか。どなたか挑戦してほしいものです。
まとめ
3本見て、スタッフだけでなくキャストでも既に亡くなっている人が多いことに気がつきます。70年代の映画ですから仕方ないのかもしれませんが、時の流れを改めて感じます。
そして女優さんは個性的な人が多く揃っていたなということも強く感じます。いわゆる本番が要求されていなかったこともあり、女優の登竜門という位置付けが明確だったのかもしれません。
最後に、自由な雰囲気で映画をつくることが許されていた環境だったということも言えます。ロマンポルノから多くの映画人を輩出しています。その人たちにとっては古き良き時代として記憶されるのでしょう。
「にっかつロマンポルノ」永遠なれ!
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