退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『コーダ あいのうた』(2021) / Apple TV+で公開後、アカデミー作品賞を受賞した超感動作

Amazonプライム・ビデオで映画『コーダ あいのうた』(監督・脚本:シアン・ヘダー)を鑑賞。フランス映画『エール!』のリメイク作品。Appleが配給権を獲得し、米国ではApple TV+で公開された。本作は動画配信サービスの映画が初めて、アカデミー賞の作品部門で受賞したことで話題になった。

海の町で暮らす高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、両親(トロイ・コッツァーと マーリー・マトリン)と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる健常者だった。幼いころからルビーは家族の“通訳”となり、家業の漁業も手伝っていた。新学期、合唱クラブに参加するルビー。彼女の歌の才能に気づいた顧問の先生は、名門バークリー音楽大学への進学を勧めるが……。


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主人公ルビー以外の家族全員が聾唖者という設定がユニーク。ルビーが歌の才能を発揮するが、家族はその歌を聞くことができない。また聾唖者たちだけで漁船を出して、沿岸警備隊の無線に応えることができず裁判沙汰になるなど、これまで馴染みのない展開が新鮮である。

しかし、あとは家族愛、才能を見出した音楽教師との師弟愛、ボーイフレンドとの恋愛などなど、青春映画にはありきたりのフツーの話で構成されている。凡庸と言っても良い。

それでもラストはとてつもなく感動がおとずれる。どういうワケでそうなるのか説明がつかないが、さすがアカデミー賞作品部門を受賞しただけのことはある。だまされたと思ってぜひ見てほしい。オススメです。

ちなみにCodaというのは、Children of Deaf Adults(耳の聴こえない親を持つ子ども)の略であるだけでなく、音楽記号のコーダにも掛けてあるとのこと。また聾唖者の家族は手話で意思疎通するので、芝居が不思議なテンポで流れていくのも、この映画の魅力だろう。