音楽家の坂本龍一さんが、先月28日に亡くなったことが報じられた。71歳。
70年代から80年代にかけて、音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ」=「YMO」のメンバーとしても活躍し、映画「ラストエンペラー」の音楽でアカデミー賞を受賞したことで知られている。社会的成功者と言って差し付かえないだろう。
私が坂本龍一さんを強く意識したのは、1981年よりNHK-FMにて「サウンドストリート」のパーソナリティを務めたことによる。すでにYMOで音楽業界を席巻していた時期だが、民放FM局すらなかった田舎育ちの私にとっては本当に刺激的な番組で面白かった。まあ芸大出身でイケメンで、明らかにモテまくりだろう風貌のサカモト教授は別世界の存在に思われたが……。
それ以来、YMOの楽曲だけでなくテクノポップというジャンルの音楽も随分と傾倒したものだ。さらにソロでリリースしたアルバムも聞くようになった。とくにピアノの楽曲が好きで、坂本さんはピアニストではなかったが、自作の楽曲を演奏した録音には訴える力があった。いまでもアルバム「BTTB」はよく聞いている。
80年代に坂本さんの音楽に触れたことが、間接的には大学進学時に上京した一因かもしれない。当時はそこそこの家庭でも子どもを東京に進学させられる環境だったことはラッキーだった。いまの日本の経済状況だととても無理だったろう。
坂本さんが闘病中であることは広く知られていたし、お姿を見るに相当に悪いだろうことが感じられた。いつか来るべき日がくるだろうと思っていたが、実際に訃報に接するとやはりショックである。アルバム「BTTB」「ウラBTTB」を聞きながら書いている。とくに「Energy Flow」が心に染みる。
ご冥福をお祈りいたします。