退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『化石の荒野』(1982) / 渡瀬恒彦がカッコいい角川映画

新文芸坐の《追悼・黒澤満 70年代以降、日本映画の新しい地平を拓き多くの才能を輩出させた名プロデューサー》という企画で、映画『化石の荒野』(1982年、監督:長谷部安春)を鑑賞。原作は西村寿行の同名小説。主演は渡瀬恒彦佐分利信の遺作でもある。

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殺人の濡れ場を着せられた刑事・仁科草介(渡瀬恒彦)は、友人の新聞記者(川津祐介)や謎の美女・千沙 (浅野温子)の協力を得て事件を追う。その背後には、終戦時にオホーツクで行方不明になった旧日本軍の5千キロの金塊をめぐる陰謀があった。仁科は金塊を追って大雪山にたどり着き、中臣克明(夏八木勲)との最終決戦を迎える……。

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とにかく主演の渡瀬恒彦がかっこいい。ロープウェイの非常口からロープを使って脱出するシーンや夏八木勲との格闘シーンなど渡瀬の身体能力高さを活かした骨太のアクションシーンが多い。ただしガンアクションが物足りない。これは当時の日本映画共通の弱点だがこれは仕方ないだろう。

旧日本軍の金塊をめぐる陰謀という話はいま思えば荒唐無稽に思えるが、当時は観客がそれなりに納得できた時代だったのだろうか。あまり乗れない話である。また渡瀬、夏八木、浅野は腹違いのきょうだいで共通の父親(佐分利信)をもつという謎設定もどうかと思った。浅野温子の物語上の役割もイマイチわからない。渡瀬と結ばれるわけでもないし。

しかし高松での大規模なカースタントは見応えがあるし、ラストの大雪山でクライマックスもヘリコプターや雪上車が登場して角川映画らしい派手な演出で楽しめる。アクション映画としての娯楽性は高い。

あと特筆したいのは劇伴である。エンディングに主題歌「化石の荒野」(歌:しばたはつみ)が流れるが、劇中に繰り返し主題歌のテーマがインストゥルメンタルで使われることでエンドロールが効果的に始まるのははすばらしい。最近はまったく関係ないJ-POPがエンディングに使われてげんなりすることが多いが、この映画を見習ってほしいものだ。

本作はいま見るとなかなかよくできていて満足したが、興行当時の興行成績は散々だったらしい。映画はむずかしい。

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