退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『影の軍団 服部半蔵』(1980) / 千葉真一不在のアメフト忍者映画

YouTubeの「東映時代劇YouTube」チャンネルで配信されていた、映画『影の軍団 服部半蔵』(1980年、監督:工藤栄一)を鑑賞。「影の軍団」と言えば千葉真一を想起する。本作でも千葉にオファーがあったが脚本に難色を示して出演していない。主演は渡瀬恒彦

家光の死去に伴い、会津藩主・保科正之山村聡)が幼い家綱の補佐役となる。これに対抗して、筆頭老中・松平伊豆守信綱(成田三樹夫)は己の権力維持のため、甲賀忍者頭目甲賀四郎兵衛(緒形拳)を使って策謀をめぐらせていた。一方、伊賀忍者の服部家には上下ニ家があり、上の半蔵(西郷隆盛)は正之に与して「お家再興」を図るが、下の半蔵(渡瀬恒彦)は大名屋敷を狙う盗賊の頭となっていた。対照的な二人の服部半蔵にはそれぞれの思惑があったが、伊豆守の陰謀を打破するために協力することになるが……。

●邦画チラシ 【影の軍団 服部半蔵 】渡瀬恒彦:監督 工藤栄一  ●映画チラシ::コレクター品良品(houti 1766)

さすが工藤栄一監督だと唸るカットもあるが、全編を見るとアラが目立つ珍作になっている。

千葉真一は、二人の服部半蔵というシナリオに難色を示したというがむべなるかな。二人の半蔵という設定が後々まったく活きていない。どうして半蔵をふたりにしたのか理解不能である。

そして極めつけ、アメフトを取り入れた殺陣のシーン。アメフトのプロテクターにフォーメーション。工藤監督が思いついたというが、これは明らかに失敗であろう。当時は斬新だと思って撮ったのだろうが、いま見ると失笑するしかない。

とってつけたような渡瀬恒彦森下愛子のロマンスも蛇足だが、森下の美しい肢体が拝めるたのでよしとしよう。思い切り脱いでいるが、これはYouTubeの基準ではBANにならないかのかしらん。

クライマックスの櫓が崩れる場面はアイディアは面白いが、特撮がショボくて見ていられない。崩れるシーンを見て、「そうはならんやろ」とツッコミを入れたくなる。映画とは関係ないが、ジェンガというゲームを思い出した。

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ラストは渡瀬恒彦が意味なく叫んでストップモーションで終わる。自分で腹を石で打って中絶した森下はどうなったのだろうと思ったが、無理やりそのまま終劇。なんだかなぁ~。

映画とテレビとのメディアミックスを考えていたフシもあるが、千葉真一主演のテレビシリーズが大アタリした分、皮肉にも余計この映画の不出来が目立つ。