YouTube「東映シアターオンライン」チャンネルで配信された映画『サーキットの狼』(1977年、監督:山口和彦)を鑑賞。原作は池沢さとしにより、漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」に1975年から1979年にわたり連載されていた同名漫画。
愛車ロータス・ヨーロッパを駆る主人公の風吹裕矢(風吹真矢)が、公道やサーキットを舞台にライバルたちと競争を繰り広げるというわかりやすいストーリー。原作では主人公がプロレーサーに成長するが、本作ではそこまでは描かれていない。
まあ脚本が詰め込んだ感があり、めちゃくちゃなのは仕方ないが、肝心のレースシーンも映像的にキレがなくイマイチ盛り上がらない。やっつけ仕事だったのなと思ってしまう。映画的な面白さは乏しい。
この映画の主役は、主人公が乗るロータス・ヨーロッパをはじめ、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどの数々のスーパーカーだろう。車が登場するたびに、車種名やスペックがデカデカとテロップされるのは東映らしい。いま振り返るとスペックがしょぼいのは「技術の進歩」を感じさせる。
最大の見どころはスーパーカーの走行シーンである。クライマックスで、当時憧れだったスーパーカーが団子状態で鈴鹿サーキットを走行するシーンは圧巻。資料映像としても貴重だろう。せっかくなのだからスーパーカーのエンジンルームや内装もフィルムに残してほしかった。
ただサーキット走行のあと、なぜか山岳路でのレースになるが、そこには往年のスーパーカーはなく、スタント用のしょぼい車に切り替わり、案の定、レース中の事故によりあっけなく終幕となる。なんだかな~。
人間ドラマとしてもとくに見るべきものはないが、主人公の姉役に山内恵美子が出演していることに注目したい。セクシー女優として名を馳せた彼女だが、本作ではお色気シーンはない。これは惜しいが、子ども向けという配慮もあったのだろうか。
本作はスーパーカーブームを体験した人は懐かしく見れるのはないか。2023/7/28(金)まで無料配信されているので是非どうぞ。