退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『荒野の渡世人』(1968) / 高倉健主演の東映らしい西部劇

YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『荒野の渡世人』(1968年、監督:佐藤純彌)を鑑賞。主演は高倉健東映映画。

アメリカ西部。咸臨丸で渡米した元侍の父親(志村喬)と現地の母親との間に生まれた主人公・ケン(高倉健)は、父親から居合術を仕込まれて育った。ある日、5人組のならず者が家に押し入ってき、両親を射殺する。ケンは復讐するため、ならず者を探す旅にでるが……。

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東映オーストリアで大規模ロケを敢行して真面目に撮った西部劇。トンデモ映画としてのツッコミどころ満載だが、本格的な西部劇にしたかったという東映の熱い思いだけは伝わってくる。

健さんカーボーイ姿が似合わないことこの上ない。これでいいのかなと思うが、白人俳優のなかで演技して、まったく引けを取らないのは流石。

娯楽映画としては、アクションシーンも見ごたえがあるし、脚本はよく練られていると思って見ていたが、ラストについては「あれでいいか」と小1時間問い詰めたい

ラスト、少年と母親を残して立ち去るケン。まさかと思ったが、少年に「ケーン、行かないで!」(吹き替えです)と叫ばせる。うーん、映画『シェーン』の丸パクリ。これも東映らしいと笑って見るしかないのか。もはや国辱モノではないかと思うが……。高倉健はこの脚本をどう思ったのか。

ほかにもケンは、ラスボスとの戦いで銃弾が尽きて日本刀を手にするが、これが任侠映画のドスの使い方で呆れる。志村喬から学んだ剣術はどこに行ってしまったのか。挙げ句に勝負はついているのに、何度も屍にドスを突き刺すのはどうなんだろう……。

まあタイトルが「渡世人」だから、これでいいのだ!!