YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『捨て身のならず者』(1976年、監督:降旗康男)を鑑賞。主演は高倉健。後年コンビを組んで数々の作品を残す高倉健と降旗康男のコンビによる初期作品。
三流週刊誌で「組織暴力キャンペーン」を張り、暴力組織を告発するトップ屋(死語)の矢島(高倉健)は、大暴力組織・大和会を追いつめていた。しかし暴力組織にはめられ冤罪により収監されてしまう。その間に奥さんを殺され、仇ともいうべき大和会組長(水島道太郎)が死んだと聞かされる……。
主人公は週刊誌記者なのに強すぎる。健さんだから仕方ないが記者という職業がまったく活かされないのは不満。結局、ジャーナリズムなどは関係なしに「暴力」で解決しようとするのもどうなのだろう。
映画の路線は、ハードボイルドなのかメロドラマなのか、はたまた任侠なのか中途半端でわかりにくい。もう少しシナリオを含めてなんとかならなかったのか……。タイトルも意味不明。
正直残念な映画だが、そのなかで存在感を発揮してるのは由利徹のゲイの演技。映画が退屈な分、美味しいところを持っていく。ほかに見どころとさがせば、ラストの銃撃戦の廃ビルの美術はよかった。ブルドーザーを真ん中に配置した俯瞰撮影は一見の価値あり。
1970年当時は日本映画の斜陽期で五社協定も有名無実になっていたのだろうか。東映映画である本作に、東宝から浜美枝(ボンドガール!)や日活のイメージが強い宍戸錠が出演している。この豪華なキャストを活かせていないのももったいない。古き良き時代の日本映画最後の徒花というべき作品といえるかもしれない。