小林まことによる柔道漫画『柔道部物語』(全11巻)を読了。1985年から1991年にかけて『週刊ヤングマガジン』にて連載された。小林まことの代表作のひとつ。
中学時代は吹奏楽部に所属していた主人公・三五 十五(さんごじゅうご)が、高校進学後ふとしたことから柔道部を見学して仮入部するも先輩たちから「セッキョー」というシゴキで地獄を見る。持ち前の負けん気から柔道を続けることを決意し、猛烈な勢いで上達して全国レベルの選手として活躍するまでになる。
柔道未経験の主人公が高校から柔道を初めて才能を開花させて大活躍する。この流れは先日読んだ剣道漫画『しっぷうどとう』と同じである。ちゃんと高校柔道をまっとうするまでを描けているのはよい。
一言でいえば少年漫画のありがちな成長譚である。それでも本作の秀逸なところは、本格的な柔道シーンとドタバタギャグが絶妙なバランスで同居していることである。いまの若い読者に通用するのかわからないが、おっさん世代には心地よい読後感が味わえる。
とくに柔道の試合のシーンは、柔道経験者であるとう筆者の強みがいかんなく発揮されていて、読み応えがある。
ちょっと物足りなく思ったのは、主人公の終盤のライバルである西野の扱いである。超高校級の実力を備えているにもかかわらず、素行不良で問題を起こし、さらに傲慢な態度で救ってもらった顧問先生も蔑ろにするトンデモナイやつである。それがいつの間にか改心したのか、主人公と仲良くなっているのが腑に落ちない。
物語のクライマックスの西野戦の盛り上がりはたいへんなもので、一度は読んでおくべき本格的な柔道漫画として、つよくオススメします。