退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『鋼の錬金術師』(2017) / 人気コミックの実写化作品だけど、これでいいのかい

続編の完結編が前後二部作として公開間近である。そのプロモーションで第1作が地上波で放送されたので、映画『鋼の錬金術師』(2017年、監督:曽利文彦)を鑑賞。荒川弘による同名漫画を原作にした実写映画。主演は山田涼介(Hey!Say!JUMP)。

幼くして錬金術の天才的才能を持つエド(山田京介)と弟アルは、亡き母にもう一度会いたい一念から禁忌の「人体錬成」に挑むがあえなく失敗。“錬金術とは 等価交換である"という容赦ない鉄則は、エドの左脚と、アルの身体すべてを奪い去る。瀕死のエドには、自らの右腕と引き換えに弟の魂をなんとか引き戻し、近くにあった鎧に定着させることが精一杯だった。エドはアルを元の身体に戻すことを決意し、鋼の義肢(オートメイル)をつけた身で、史上最年少の国家錬金術師鋼の錬金術師」になるのだった……。


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私は原作漫画のファンでアニメも見ていたが、実写版の公開時の評価があまりにひどいので見るのを躊躇していたが、そろそろいいだろうと怖いもの見たさで見てみた。

たしかにこれはひどい

そもそも作品の雰囲気を保ったままに日本人俳優で映像化するのは無理がある。それは仕方ないにしても、コスチューム姿が仮装大賞のようで見るに堪えないし、せっかくのイタリアロケの映像も痛々しい。

しかも主演の山田涼介はエドを演じるには大きすぎるし演技も稚拙でひどい。なぜキャスティングされたのかまったく理解できない。ジャニーズだからか。

さらに「うーん」と嘆息を漏らしたのは、ウィンリィ役の本田翼。ウィンリィはもっと幼いと思うが、エドとのバランスもあるだろうからそれは措いておく。しかし本田は素のまま。演技してください。かわいければいいというものではないだろう。

あとアニメを見てきたせいかしれないが、アルの声も違和感が違和感があった。いっそのこと釘宮理恵くぎゅ)が吹き替えればよかったのにと強く思ったものだ。

適当に原作のエピソードを拾ってきたプロットも雑。原作を知らない観客は理解できないのではないか。みんなついてこれたのかな。

文句ばかり言っても仕方ないので、よかったと思ったことも挙げておく。まずラスト役の松雪泰子はキャラクターに寄せていて、個人的にはとても気に入った。続編に出ないのは残念。エンヴィー(本郷奏多)やグラトニー(内山信二)も雰囲気が出ていて及第点。

また鎧姿のアルの造形やモーションは一見の価値あり。CG全般は予算の都合なのか、ショボい印象を受けたが、アルの表現はなかなかよかった。

それにしてもコミックの実写化はむずかしいのはわかるが、あまりにもひどい映画で呆れた。つくった人たちは、これで本当にいいと思っているのだろうか。完結編を公開時に映画館で見ることはないだろうが、いずれどこかで目にすることになるだろう。すこしは進歩を感じさせてくれるだろうか。