いわゆる「一票の格差」を是正するための衆議院の新たな区割り「10増10減」を巡り、自民党の議員たちが騒いでいて見苦しい。
二階俊博氏などは「腹立たしい」と言い出す始末。
そもそも選挙区制度や区割りのような議員自身に関わることを、議員たちが私利私欲や党利党略抜きに議論できるはずもなく、第三者機関にまかせるべきだろう。本件についていえば、衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)がそれに相当する。
衆議院の小選挙区の数は2020年の国勢調査確定値に基づいて、人口比を反映しやすい「アダムズ方式」で算出した10増10減の議席配分が確定している。議会は区割り審の意見を形式的に承認すればよい。
さらに、この「10増10減」について自民党の世耕弘成参議院幹事長はこんなことを言っている。
東京一極集中の問題や地方の過疎の問題が言われているなかで、地方の声がますます国政に反映しづらくなっていく。ぎりぎり2倍を超えない範囲ということで3増3減と良いんいう対応もあるし、場合によっては議員定数を増やすという選択肢も考えては良いんではないかと」
いやいや「地方の声が届かない」ことが問題なのではなく、「都会の声が届いていない」現状をどうするかということこそ問題であるはずだ。なぜ地方の声だけ2倍に増幅しなければいけない理由がわからない。これは明らかに違憲であるばかりでなく、民主主義の根幹を揺るがしかねない。
こうした「一票の格差」問題をいい加減に考えている政治家や政党に対しては、有権者はその投票行動で「NO」を突きつけるしかない。とりあえず、二階俊博と世耕弘成の両氏は「一票の格差」を軽視する政治家としてリストアップしておきたい。