2021年4月に出版された、日本で起きているコロナ騒動を憂う著者2人による対談本。現在、日本では緊急事態宣言も解除されて、落ち着きを取り戻しつつあるが、今年春あたりのマスコミが「コロナは怖い、コロナは怖い」と煽っていたことを思い出しながら読むとよいだろう。
日本の「コロナ騒動」について、いろいろおかしいと思っている人は共感できる内容である。日本のマスコミ、(自称)専門家、医師会、政治家などなどさまざまな人たちについて語っているが、とくにマスコミ批判は痛烈である。とくに民放テレビ局は煽ればそれだけ儲かるのだから、科学的根拠も示さずに煽りまくるのは合理的行動なのだろうと納得した次第である。
面白かったのは、ウイルス学者である宮沢孝幸は獣医学部出身だが、動物由来のウイルス対策は獣医師が専門だと語っていたところ。たしかに先進国ではヒトの深刻な感染症の症例なんて限られていて、獣医師のほうが臨床医よりウイルスについて詳しいのは当然なのかもしれない。
その伝で言えば、テレビなどでワクチンのことを語るのに、なぜ薬学分野の専門家が出てこないのかも不思議なことである。
最近、オミクロン株の感染拡大が話題になっているが、この本によれば、変異して感染力が強くなれば弱毒化するので、あまり心配していない。
いずれにせよ、コロナ脳に陥っている日本社会を再評価するには、いまがいいタイミングであろう。この本は、そのためのいろいろな視座を提供してくれる。