退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】峰宗太郎、山中浩之『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアムシリーズ、2020年)

新型コロナを扱った本を何冊か読もうと思い手にとった本のひとつ。この本を選んだのは、周囲で評判が高かったためだが、約1年前に出版された本であり、日本でのワクチン接種が本格的に始まっていない時期であることは留意したい。

米国立研究機関のウイルス免疫学者と編集者の対話形式である。昔から対話形式の本が好きだったのも選んだ理由のひとつ。対話形式の本のには、ひとりの筆者が複数の登場人物を立てて対話させているものもあるが、本書は実際に二人の筆者の対話がベースになっている。非常に読みやすくまとめてあるのは、編集者の手柄だろう。

まあ素人相手にウイルスやワクチンについて科学的に精緻な議論などは所詮無理なのは自明。その点は割り切っていて捨てるところは捨てて、ざっくりと全体像を捉えてわかりやく説明しようとしてるところは好感をもてる。

まあ私も素人ながら一連のテレビ報道を見ていて、「こんな伝え方で本当にいいの?」と思っていたが、その疑問点のいくつかは見事に説明されている。とくに日々の新規感染者数に一喜一憂していたり、政治家がPCR全数検査だとほざいていたりしていたのは、いま見ると明らかに間違っていたことがわかる。

本書の最後には「この本を信じるな」とか言い出して驚いた。結局は自分で情報を集めて思考することが大事だという、あたりまえの結論に帰着している。それならば専門家の仕事とは何なのかとも思うが、テレビなどに登場する「専門家」がどれだけいい加減だったのかとうことはみんか気づき始めている。

個人的にはいまの感染状況を見て、「日本はなぜ新規感染者を減少させることができたのか?」「海外で感染拡大しているなか日本だけなぜ抑え込みに成功しているのか?」という点に興味があるが、いまのところ答えはわからない。日本人は民度がちがうからという人もいるが、これこそ「根拠の薄い話」だろう。

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