退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書、2023年)

YouTubeで知っている人が本を出すと、ついつい読んでしまいます。この本もそのなかの1冊。

筆者は、「日本の大学に全部行った男」というのをキャッチフレーズにしているユニークな人です。昔、アオイゼミというネット塾の企画でニコ生に筆者が出演しているのを見て「面白い人がいるなぁ」と思っていました。いまではYouTuberとしても活躍しています。

この本ですが、YouTubeの歯に衣着せぬ動画に比べると薄味というのが第一印象です。まあ露骨な大学批判は営業妨害になるおそれもあるのでしょう。しかし、かつて『危ない大学・消える大学』(島野清志著)のような本もありました。もう少し「この大学やヤバい」「この大学はやめとけ」みたいな警告もほしかったですね。

薄味なのは、「厳選! 魅力的な私立大160校」(第3章)ではっきりわかります。説明が数行しかない大学も多くまったく役に立ちません。私の母校はわずか4行でした(汗)。また、このリストには早慶を始めとする有力大学も入っていますが、そもそも偏差値45の生徒には無理でしょう。つーか、偏差値45は進学しなくてもいいじゃねとすら思います。

さらにこの本は誰を対象にしたのかイマイチわかりません。何も知らない高校生向けにしても、これを読むと余計に混乱するだけのような気もします。個人的には、大学受験の様相が昔とは大きく変わっいることがわかったのは収穫でした。年内に決着がついている受験生が多いというのはなかなかショックでした。

この本は薄味なだけあり、すぐに読み終えることができます。読了後にYouTubeの動画をチェックするというのがよい使い途だと思われます。この本を読むより、筆者が公開しているYouTubeの動画のほうがよほど参考になります。

YouTubeの雰囲気が本書に十分出ていないのは残念。書籍ならでは付加価値がほしいところです。