映画『水戸黄門』(1978年、監督:山内鉄也)を鑑賞。国民的人気を博していたテレビドラマ「水戸黄門」は、製作を東映京都撮影所が担当しており、スポンサーだった松下電器とのタイアップにより劇場映画の製作が決まる。
加賀藩のお家騒動。お家乗っ取りを目論む次席家老・村井主水(安部徹)の悪だくみを阻止すべく、城代家老・奥村作左衛門(三船敏郎)の娘・由美(栗原小巻)は水戸へ向かっていた。途中、敵方の奇襲に遭い由美は深手を負うものの、危く弥七(中谷一郎)に救われる。由美の頼みを聞いた光圀(東野英治郎)は、お家騒動を沈めるべく、助三郎(里見浩太朗)と格之進(大和田伸也)を引き連れて加賀へ旅立つ……。
これまで何度も東映で映画化されている「水戸黄門」だが、やはりテレビドラマで馴れ親しんだ東野英治郎版がしっくりくる。里見浩太朗、大和田伸也、高橋元太郎、中谷一郎らレギュラー陣も安定感がある。ちなみに、お銀(由美かおる)はまだ登場していない。
これならテレビドラマのスペシャルでいいじゃないとも思うが、タイアップ企画だから仕方がない。劇場映画をつくることに意味があるのだ。さすがにスペシャル感を演出するためか、大物の三船敏郎を起用しているが三船ならではという見せ場は少ない。もったいない。
道中、にせ黄門一行(ハナ肇、植木等、谷啓)に遭遇する。おなじみの「にせ黄門」のエピソードだが、クレージーキャッツの面々がいい味だしていて楽しめる。
あまり映画で撮る必然性のない作品だが、ロケや遠景など映画ならではのぜいたくな映像を楽しむことができる。名画座などで上映されるような作品ではないだろうが、映画館の大きなスクリーンで見ると意外に見応えがあるのかもしれない。