退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】野原広子『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA、2018年)

夫が大嫌いなのに家族のために自我を抑えて笑顔で暮らす主婦を描いたコミックエッセイ。

画のタッチは好みで読みやすいが、内容はひたすら暗い。もっぱら妻の目線で描かれているので、夫婦の扱いはフェアではなく、かなりバイアスがかかっている。女性が主な読者層なのだろう。

読んでいて「もう、とっとと離婚しろよ」と何度思ったことか……。

そもそも妻・翔子が経済力がなくて子どもを育てられないから離婚できないとかほざいているが、夫に落ち度がないのに、経済力がないのに離婚後に子どもの親権を持てると思っていることが度し難い。

それでも日本では母親が親権を持つことが多いそうだが、経済力もないのに海外ではありえない。オレなら絶対養育費なんか払わねえよ、とフンガイした。

専業主婦だった翔子が、何を思ったのか介護施設のパートで働き出す。なかなか感心だなと思ったが、正社員への登用を打診されると、夜勤があるという理由で辞退……。「は、仕事舐めてるの?」などと思ったものだ。

被害妄想の翔子のウツウツとした与太話が延々と続くのだが、結局、夫婦は現状維持のまま生活を続けていく。もうなんだかなぁ~。こういう作品が女性たちの共感を呼ぶのだろうか。

最後に、娘が同級生たちとこども目線で親の離婚を語る場面はちょっとよかった。なかなか上手い締め方だと、そこは感心した。

余談だが、夫がかつて好きだった女性の名前を子どもにつけるというのはありありだと思った。たいていは却下されるようだが(汗)。

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