退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【訃報】澤井信一郎さん死去

映画監督の澤井信一郎さんの訃報が届いた。83歳。

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東京外大卒業後、東映に入社し、マキノ雅弘に師事している。日本の映画会社のシステムが健全だった時代に映画監督である。映画人としてはいい時代だったのではないか。

監督デビュー作は松田聖子主演の『野菊の墓』(1981年)。以後、薬師丸ひろ子主演の『Wの悲劇』(1984年)、原田知世主演の『早春物語』(1985年)など、アイドル映画を映画の文法に則った手堅い演出で撮った監督だった。

代表作は『Wの悲劇』だろうか。公開時「アイドル映画で劇中劇は難しいだろうな」と思って見た記憶があるがが、上手くまとまっていたので感心したものだ。

また映画以外にも、東映の特撮映画にも足跡を残している。アニー役として抜擢された森永奈緒美のミニスカートのアクションが人気を博し、私の好きな特撮テレビドラマ『宇宙刑事シャイダー』でパイロット監督を務めている。

当時忙しかったらしく、監督回は第1話、第2話、第38話、第39話の4話のみであるが、企画にはかなり関与しており、宇宙刑事シリーズのなかでも独特の世界観が表現されている。また森永奈緒美の微妙な歌唱による挿入歌「アニーにおまかせ」では作詞を担当していることにも思いを馳せたい。

ご冥福をお祈りします。