退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『座頭市と用心棒』(1970) / 「座頭市」シリーズの第20作目。三船敏郎をゲストに招いたヒット作

録画してあった映画『座頭市と用心棒』(1970年、監督:岡本喜八)を鑑賞。勝新太郎のライフワーク「座頭市」シリーズの第20作目。三船敏郎の代表作である「用心棒」との競演を実現した話題作。ヒロインに大映の看板女優であった若尾文子が起用されているのもポイントが高い。

市(勝新太郎)がかつて訪れたころの村は平和だったが、市が再び訪れたその村はヤクザの小仏一家によってすっかり変わっていた。小仏の政五郎は一家の用心棒(三船敏郎)に市を斬るよう頼み込む。用心棒は酒に酔ったまま市を斬りに行く。しかし、対峙して市が容易に斬れる者ではないことがわかると、斬るのを諦め市を酒に誘う。お互いを「バケモノ」「ケダモノ」と呼び合い心を通わせる。一方、小判改鋳をめぐる不正による金の延べ棒のありかをめぐり、各人の思いが交錯して怒涛の展開を見せる……。


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岡本喜八監督はこうした娯楽映画を撮るとさすがに上手い。しかし本作は、勝新太郎三船敏郎、そして若尾文子という銀幕スターに気を使っているように思える。

そもそも「座頭市」と「用心棒」が対決して決着がつくわけもなく予想どおり痛み分けとなり、観客は「やっぱりね」となってしまうのは難点。大スターを両方立てるのはむずかしい。先日見た『ゴジラvsコング』と同じだ。

またせっかく若尾文子様をヒロインに起用しているのに、どうも彼女の魅力を引き出すことに成功しているとは思えない。ラストシーンで見せ場があるもの物足りない。もう少しストーリーに絡んでほしかった。

それでも岸田森などの岡本組が出演しているのも楽しい。「座頭市」シリーズのお約束も踏まえて娯楽時代劇のツボはしっかり抑えている。さすが岡本喜八というところか。