新文芸坐の《座頭市 令和に甦る盲目の侠客》で映画『座頭市地獄旅』(1965年)を鑑賞。勝新太郎の代表作、座頭市シリーズの第12作。監督は当日併映の第1作と同じ三隅研次。
時代劇の巨匠・伊藤大輔を脚本に迎えた本作は、第1作と同様、座頭市と凄腕の浪人との交流と戦いをモチーフにしながら、道中2組の仇討ちを絡めながら進行する。
座頭市の好敵手である将棋好きの浪人役の成田三樹夫が小粋でかっこいい。他ではなかなか見れないクールな成田を見ることができる。目隠し将棋を指す二人がなかなかいい。
座頭市が浪人と対峙する構図は、当日併映された第1作と同じである。丁半博打で座頭市がツボを振って、ツボの外に飛び出したサイコロにみんなが賭けるという、第1作に登場したネタが、本作でも再登場している。映画館に笑いがこぼれた。
さすがに第12作ともなると観客がいろいろ期待するのだろう。座頭市もサービス満点。ドロップキックまで披露している。やりすぎかと思ったが、ちゃんと別のエピソードの呼び水になっているのはさすが。
ドロップキックで二階から蹴り出されたヤクザのせいで、ケガをした子どもがケガをする。その治療のため、座頭市は賭博場で稼いで高い薬を手に入れ、仕返しにきたヤクザを切り伏せるが、肝心の薬を落としてしまう。盲目なのに必死であたりを探す場面が見どころ。
本作は時代劇らしい凝った脚本だが、伏線をすべて丁寧に回収するには尺が短く、最後が駆け足なのが惜しい。じっくり撮ってほしかった。