新文芸坐の《1997年に亡くなった三大映画スター 没後20年 三船敏郎・勝新太郎・中村錦之助》という企画で、映画『新座頭市物語 折れた杖』(1972年)を鑑賞。『顔役』に続く勝新太郎監督第2作。“座頭市”シリーズ第24作。
吊り橋ですれ違った行きずりの老婆が落下する冒頭シーンから独特の世界にに引き込まれる。市はその老婆から形見の三味線を娘(太地喜和子)に渡すように頼まれる。女郎宿にいた娘を身請けするための金を賭場で荒稼ぎするが、怒った地元のヤクザたちとの間に悶着が起こる。
いつものプロットだが冒頭の吊り橋のシーンが悪夢の何度もフラッシュバックするなど独特の演出が目立つ。好き嫌いが分かれるかもしれない。
アクションシーンでは、娘を人質に取られて手を潰された市が、仕込み杖を手に固く縛りつけての壮絶な立ち回りがユニーク。当然、市がヤクザどもを全滅させるのだが、毎週見ているテレビシリーズとはちがい画角が広いのに驚く。また血しぶきなどテレビではできない演出も新鮮だった。