退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大菩薩峠』(1966) / 千恵蔵でもなく雷蔵でもなく仲代達矢。ラストは基地外に刃物!

新文芸坐の《映画本格デビュー60周年 祝・文化勲章受章 第三回 仲代達矢映画祭》で映画『大菩薩峠』(1966年、監督:岡本喜八)を鑑賞。

中里介山作の長編時代小説。舞台は幕末。虚無にとりつかれた剣士・机竜之助を主人公とするピカレスクロマン。これまで何度か映画されている作品であり、戦後では片岡千恵蔵市川雷蔵が龍之介を演じている。これに続き制作された本作では仲代達矢がニヒルで悪に徹した主人公を演じている。

全般的に宗教観が排除されているせいか、先行作品と比べると雰囲気がちがうと感じるかもしれないが、チャンバラ映画としては本作が最も娯楽性が高いだろう。

とくにラストシーンの机龍之介が何かに取り憑かれたように剣を振う姿は圧巻。御簾に向かって剣を振り回すシーンは本身が使われていたのか本当に切れている。スゴい迫力。新選組相手に斬りまくる龍之介がカッコいい。


The Sword of Doom 1966 Trailer

また東宝映画らしく三船敏郎が島田虎之助役として出演して派手な殺陣を披露しているのにも注目。さしもの龍之介もビビって島田を目の前に立ちすくむシーンは見どころ。三船敏郎の貫禄がすごい。

原作が長編ということもあり回収されない伏線も多い。続編があるかと思いきや、仲代版大菩薩峠はこの一作しかつくられていない。三部作で見たかった。

f:id:goldensnail:20160609200206j:plain:w420