退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】澤田晃宏『東京を捨てる-コロナ移住のリアル』(中央新書ラクレ、2021年)

コロナ禍で地方移住への関心が高まっていることを背景に、コロナ移住者や移住支援機関、地方自治体などを取材した本。地方移住に関する実用的な情報も提供していて、ガイドブックとしても読める。

冒頭、「はじめに」で筆者が東京を初めて体験した1989年に比べて、「色を失った」と表現していた。私自身が年をとったということもあるだろうが、全国が画一化して相対的に東京が面白くなくなったというのは事実だろう。加えて最近のリモートワークの普及により、東京にいなくてもいいだろうと考えるのも理解できる。

この本は、ちょっとでも東京から距離を置いてみようと考える人が最初に読む本としてはアリだと思う。この本から始めていろいろと調べてみるのはいいことだろう。とくに第六章「都会人が知らない田舎暮らしのトリセツ」は参考になる。

それでも事情は「人それぞれ」だろうし、ひとつの答えがあるわけでもない。コロナの影響がいつまで続くのかわからないし、終息後は従来のように満員電車で都心のオフィスに通勤する日常が戻るかもしれない。あるいは業種や業界によっては、都心に大きなオフィスを用意する必要がないと考える企業もあるかもしれない。まさに「人それぞれ」というところだろう。

個人的には、田舎は無理だと感じた。いろいろ理由があるが、以下に列挙してみる。

  • 車社会がイヤ(電車で移動したい)
  • 医療機関がショボいのはイヤ(病院は自由に選びたい)
  • 教育環境がショボいのがイヤ(子どもがバカになりそう)

これは生活面だが、趣味でもいろいろある。いまは自粛しているがたまには名画座に行きたいし、ミュージカルやコンサートなど生のステージも楽しみたい。展覧会も行きたい。

結局、コロナで生活が変容したことにより、これまで以上に人生で何を重視するかが問われているのだろう。

f:id:goldensnail:20210823185705j:plain:w400