退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『夢売るふたり』(2012) / 松たか子の演技が絶品

映画『夢売るふたり』(2012年、監督・脚本・原案:西川美和)を鑑賞。主演は松たか子

東京の片隅で貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)の夫婦は小料理屋を経営していた。開店5周年の夜、調理場から失火して店は全焼。すべてを失った夫婦は再建のため、夫が独身女性を騙す結婚詐欺を計画する。狙いをつけた女性に里子の万全のアシストのもと、貫也が近づく。何人もの女性を騙して順調にカネが集まるが……。


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松たか子を主演に据えた監督の思い入れが熱い。お芝居とはいえ女性は「どこまで夫の浮気を許せるか」という話だが、松たか子の芝居が絶品だし、パートナーの阿部サダヲとの相性もいい。熱湯風呂で説教される阿部の姿に身につまされた男性諸氏を多いのではないか。好きシーンである。

途中まではニヤニヤしながら見れるシーンが続き、ほのぼのとしたコメディのような映画だったが、ラストは急にシリアルになって驚かされた。もう少し穏やかな決着もあったのではないか。終盤、空中分解したような印象が残るのが惜しい。総じて映画らしい映画であるし、女性監督らしい作品だととも言える。好きなタイプの映画である。

夢売るふたり