新文芸坐で映画『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年、白石和彌監督)を鑑賞。浅野妙子の同名小説の映画化。蒼井優と阿部サダヲのダブル主演。R15+指定作品。
- 発売日: 2018/04/25
- メディア: Blu-ray
十和子(蒼井優)は、働くでもなくウツウツして日々を送り、昔の恋人・黒崎(竹野内豊)のことを思い出してばかりいる。15歳年上の同居人の陣治(阿部サダヲ)は不能で冴えない男だが作業労働者として真面目に働き、生活費を十和子に貢いでいた。そうしたなか十和子の許に、デパートからクレーム処理のためイケメン従業員・水島(松坂桃李)があらわれる。いきなりキスをされた十和子は妻子持ちの水島と恋に落ちて情事を重ねる。ある日、十和子は黒崎が行方不明だとを知り、陣治がその失踪に関与しているのではと疑うようになるが……。
本作は恋愛を絡めたサスペンス・ミステリーだが、オチは途中で簡単にわかってしまい、終盤に「あーあ、やっぱりね」となるので、謎解きを楽しむタイプの映画ではないだろう。登場人物が変なばかりなので、その人物描写を楽しむ映画といえる。
映画を支えているのはダブル主演のふたり。阿部サダヲの演じた薄汚れた作業労働者はいかにも役作りしてきたなという雰囲気だが、蒼井優の演じるサイコ女は蒼井そのものだと思わせるところがすごい。蒼井の実生活はこんな感じではないかと透けて見える気がするほど。まあ実際はちがうだろうけど。
さて結末は陣治の純愛が美しいとも言えるが、あんなサイコ女に入れあげるとは、十分に変なヤツである。劇中でも、十和子の何に惹かれたのか少し説明がほしいところ。
そして誰得という声もあるが、蒼井優の濡れ場も見どころのひとつ。年齢的には女盛りで美しく撮れているが、もう少し若い頃の肢体をスクリーンで見たかったと思ったのは私だけだろうか。