DVDで映画『謝罪の王様』(2013年、監督:水田伸生)を鑑賞。脚本・宮藤官九郎、主演・阿部サダヲによるコメディ映画。
架空の職業「謝罪師」を生業とする黒島(阿部サダヲ)が、ケンカの仲裁から外交問題までさまざまな事件を謝罪テクニックを駆使して解決していく姿をオムニバス形式で描く。
アイディア勝負の典型的なクドカン映画。途中から退屈になることが多いが、この映画は短いエピソードを紡いていくオムニバス形式で撮られているので終盤までなんとか観客の興味をつなぎ止めることに成功している。
しかし最後の架空のマンタン王国(モデルはブータン王国か?)では懲りもせずに、外交問題を「土下座を越えた究極の謝罪」で解決するという大風呂敷を広げてしまっている。まあ映画的はラストに盛り上がりが必要なのかもしれないが、手堅くこじんまりまとめたほうがよかっただろう。
謝罪に対する異文化間のちがいに着目するのはよいのだがどうしても消化不良という気がする。異文化については、どうせならもう少しアイディアを練り上げて続編をつくってほしかった。
また思い切って外国を扱うのであれば、マンタン王国をきちんと描いてほしかった。宗教や文化、食文化などなど。せめて街並みや王宮ぐらいは撮ってもいいだろう。
映画で登場するシーンが道路だけというのはどうなのか? 予算がなかったかもしれないが、これではショボすぎてまったく伝わらない。
途中まで結構面白く見ていたのだが、最後のマンタンのエピソードでいつもの悪いクセが出た。アイディアは面白いだけに映画の出来はちょっと残念。惜しい。
やや余談となるなるが、劇中で、今年の大河ドラマ「麒麟がくる」で沢尻エリカの代役を演じている川口春奈が舞台挨拶で「別に」と発言するシーンがある。当時の流行語だったのかもしれないが、今見ると予言めいていてすごい。見どころのひとつである。