退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ワンダーウーマン 1984』(2020) / ガル・ガドット主演のシリーズ第2作

新文芸坐で映画『ワンダーウーマン 1984』(2020年、監督:パティ・ジェンキンス)を鑑賞。目当ては併映の『トータル・リコール』のだったので本作はとくに期待せずに見た。2017年の映画『ワンダーウーマン』の続編。

タイトル通り舞台は1984年のアメリカ。主人公ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)は、スミソニアン博物館で働きながら、ワンダーウーマンとして悪と戦い続けていた。ある日、FBIに押収された盗品が鑑定のため博物館に届く。ダイアナはそのなかに不思議な「石」を見つける。新しくダイアナの同僚となったバーバラ(クリステン・ウィグ)がその鑑定にあたるが……。


Wonder Woman 1984 – Official Trailer

プロローグの少女時代のダイアナが参加した「超人競技大会」の映像に圧倒される。見たことないようなシーケンスが延々と続き、「つかみはOK」である。レースで近道してズルをするダイアナが後の伏線になっているところも上手い。

しかし後半に行くにつれて脚本が破綻している。中東にいたはずの主人公たちが、次のシーンではアメリカに戻っているなど観客が混乱してしまう。最も不満なのは、同僚として登場してやがてヴィランとなるバーバラのストーリーが最後まで回収されない点である。クライマックスというべきふたりの対決シーンもCGまる出しでどこかチープである。

作中「猿の手」(原題:The Monkey's Paw)という短編小説の名前が何度も登場する。これはイギリスの小説家W・W・ジェイコブズによる短編小説であり、怪奇小説の古典として知られている。英語圏では有名なのかもしれないが、日本人にとっては「はてな?」となるかもしれない。

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アメコミ映画を見て、映画の出来不出来を論じてもあまり意味がないのかもしれないが、ガル・ガドットが走っているだけで画になるのは立派。ヅカ的には「男前」ということになろうか。このようなアスリート然とした女優は日本ではなかなか見つからない。その点はアメリカらしい映画といえる。

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