退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『トータル・リコール』(1990) / アーノルド・シュワルツェネッガー主演のB級SF映画の傑作

新文芸坐で映画『トータル・リコール』(1990年、監督:ポール・バーホーベン)を鑑賞。90年代アーノルド・シュワルツェネッガー代表作であるSFアクション映画。

近未来、建設労働者のクエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、妻ローリー(シャロン・ストーン)と結婚して平凡に暮らしていた。ある日、クエイドは広告に惹かれてエンターテイメントとして記憶を売るリコール社を訪れるが、うまく記憶を獲得できない。帰宅途中、謎の集団の襲撃を受けて、自分の記憶がニセモノであることを知り、本当の自分の記憶を求めて火星の植民地に向かうが……。


TOTAL RECALL TRAILER 1990

4Kデジタルリマスター版の映像の美しさに感動。しかし上映の冒頭、ポール・バーホーベン監督が作品について語るフッテージがあり、同時に本編のハイライトシーンが流れた。これは本編の上映後に見たかったなぁ……。まあ観客は本編を熟知していることが前提の上映企画なのだろうが、いささか興を削がれた。

本作はSF映画であるが、硬派な作品ではなくB級アクション映画である。それでも傑作として語り継がれるのは、圧倒的な映像の力であろう。極めつけは「2週間おばさん」のシーン。このシーンだけでもB級SF映画史に残るだろうと思わせる魅力がある。一度見たら決して忘れられないシーンである。


Total Recall - Two Weeks [HD]

ストーリーでは真実と虚偽が交錯してどちらが本当の世界なのかわからなくなるあたりはちょっと上手い。実は悪役リクター(マイケル・アイアンサイド)の部下であるクエイドの妻・ローリー(シャロン・ストーン)と、火星でクエイドの相方になるメリーナ(レイチェル・ティコティン)とどっちがいいかなと考えるのも一興。個人的には断然シャロン・ストーンだが……。アーノルド・シュワルツェネッガー股間を踏みつけるシャロン・ストーンという最高のシーンもお見逃しなく。

いろいろツッコミどころが多いSF映画ではあるが、いま見ても十分に面白い。ひさりぶりに見たがリマスター版の鮮明な映像で作品を堪能した。

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