新文芸坐のレイトショーで映画『遊星からの物体X』(1982年、監督: ジョン・カーペンター)を鑑賞。原題はシンプルにThe Thingだが、面白い邦題がついている。アメリカの南極基地に現れたエイリアンとそれに立ち向かう隊員たちを描く。カート・ラッセル主演。
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いわゆる侵略SFモノだが、南極の氷から開放されたエイリアンは、地球上の生物を取り込み、同化・擬態することが可能というところがミソ。そのためエイリアン対人類という単純な図式ではなく、隊員たちは、閉鎖空間のなかで誰がエイリアンに「同化」されているかわからず互いに疑心暗鬼に陥る。そのことが人間ドラマに厚みを加えていて、B級SF映画を超える作品に仕上がっている。ただ現代の視点からから見ると隊員に女性がひとりもいないのは物足りない。
John Carpenter's The Thing original trailer (1982) HQ
同化した生物に擬態するというアイディアは、最近では実写映画化された『寄生獣』を思い出した。原作者の岩明均が本作に影響を受けたかどうかはわからないが、共通点があるのはたしかだろう。本作が新古典と言われる所以だろうか。
この映画は冒頭シーンがいい。ノルウェー観測隊のヘリが、雪原を逃げる犬を追って、アメリカ基地に現れる。この犬はすでにエイリアンに「同化」されていたとう導入部は本当にすばらしい。
まあVFXは技術的には現代と比べれば見劣りするのは仕方ないが、エイリアンの造形とアイディアが秀逸なこともあまり気にならない。むしろ80年代のSF映画への懐かしさを感じさせてオールドファンには微笑ましい。またエンニオ・モリコーネの劇伴が素晴らしいことも付記しておきたい。
余談だが、今回この映画を見に行くか迷った。これまでに何度も見ているし、現在Amazonプライム・ビデオでも配信されているからだ。それでも大きなスクリーンで見たいので映画館まで足を運んだ。映画そのものはよかったのだが、1本で1100円という料金には不満がある。昼間のプログラムは二本立てで1100円なので割高に思える。ラスト1本と同じ850円が妥当であろう。