昨年、新潮社の雑誌『新潮45』が休刊した。同誌18年8月号の自民党・杉田水脈衆議院議員による「『LGBT』支援の度が過ぎる」という寄稿文の炎上が契機になって自滅した格好だ。名門出版社の新潮社の雑誌にしては無様な末路だったし、一読者としてもとても残念だった。
休刊で心配されていたのは、同誌に連載されていたコミック「プリニウス」(ヤマザキマリ、とり・みき共著)の行末だった。このまま打ち切りにするのはあまりにも惜しい作品。さて新潮社の雑誌に移籍先はあるのだろうかと懸念していた。
しかしいつの間にか雑誌『新潮』2019年1月号から連載を再開していた。うかつにもすっかり見過ごしていたのだ。いま書店に並んでいるのは2月号なので、あわてて2か月分の連載を読んだ。『新潮45』と同様、「プリニウス」のページだけマンガ用の上質紙がおごられている。
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「プリニウス」は古代ローマを舞台した歴史巨編。プリニウスは博物学者であり、知識人であり、軍人でもある実在の人物。世界史の教科書にも出ているので受験勉強で名前を覚えた人も多いだろう。
- 作者: ヤマザキマリ,とり・みき
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皇帝ネロの人格がいよいよ崩壊するあたりから連載は再開されている。月刊誌のわりには、ベージ数が少ないので物語の進行は遅いのが難点。既に単行本が第7巻まで出ているので読み直してみたいとも思うが、完結したあとの方がよいのかもしれない。いつになるかわからないが……。いずれにしても毎月の楽しみが増えてよかった。