イカれた映画雑誌として独特の存在感を放っていた『映画秘宝』が、洋泉社が解散したことから2020年3月号で休刊となった。毎号読んでいたので惜しいと思ってた。
その後『映画秘宝』は、双葉社で2020年6月号(4月21日発売)で復活したと聞いていた。しかし買いそびれて、古本もかなり高騰していてゲンナリしていた。それでもなんとか6月号を入手して手元にやってきた。装丁などはこれまでと変わりなく、懐かしいと感じる一方、代わり映えしないなとも思った。
内容はコロナ禍の影響もあり新作の紹介はほぼなし、しかもほとんどの連載もなくなっていてやや落胆。巻末には連載復活をほのめかす記載もあったがどうなることやら……。
興味深かったのは、映画関連の仕事をそれほどしていたわけでもないのに、志村けんさんの訃報に紙面を割かれていたこと。「映画秘宝」的な追悼記事がよかった。
とくに山田洋次監督が、喜劇人を題材にした映画を志村けん主演で企画していたという話はしんみりと読んだ。これまでも古今東西に幻の映画はたくさんあるが、これはぜひ見てみたかった映画のひとつである。まったく惜しい。