DVDで映画『悪の教典』(2012年、脚本・監督:三池崇史)を鑑賞。貴志祐介のベストセラーの映画化。主演は伊藤英明。
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: Blu-ray
高校教師・蓮実聖司(伊藤英明)は、生徒から"ハスミン"という愛称で呼ばれ絶大な人気を誇っていた。学校やPTAでの評価も高く、教師の鑑ともいうべき存在だった。しかし、それは偽りの仮面にすぎなかった。ホンモノの彼はサイコパスであり、目的のためには手段を選ばず、殺人さえもいとわない。ある日、ハスミンは失敗してしまい、それを隠蔽するためににクラスの生徒全員を抹殺することを決意するが……。
原作があったから暴走できなかったのか、三池崇史監督にしてはまとまった映画。随所に張られた伏線がいちいち回収されるのはわかりやすいがストレートすぎる。頭脳明晰のエリートにしては、主人公によるいきあたりばったりの行動が繰り返されているのはどうかと思う。
あと主人公・ハスミンの過去を描く回想シーンも成功しているとは思えない。原作小説ではじっくりと書かれている部分なのかもしれないが、映画では尺のせいもあるのだろうが唐突で薄っぺらく感じられた。なぜサイコパスになったのか十分描かれているとは言えないし、映画で描く必要があったのかも疑問が残る。
この映画のいちばんの手柄は、主演の伊藤英明のキャスティングだろう。いかんせん伊藤は頭脳明晰には見えなかったが、二面性がありそうな雰囲気は、地からくるものかもしれないが、ちょっとぞくぞくさせられる。これまで演じてこなかった役柄だろうが収穫だった。
また、いまやすっかり若手俳優として大成した二階堂ふみや染谷将太の当時の演技を見られるのも見どころ。やはり二人にはオーラが感じられる。成功するべくして成功したのがわかる。
ラストに「TO BE CONTINUED」と続編を匂わすテロップがでるが、いまのところ続編はつくられていない。続きが見てみたい作品ではある。