近くのシネコンで映画『燃えよ剣』(2021年、脚本・監督:原田眞人)を鑑賞。原作は司馬遼太郎の代表作である同名小説。主演は岡田准一。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて上映が延期されていたが、ようやく見ることができた。
箱館戦争のなか、旧幕府軍残兵、土方歳三(岡田准一)がフランス軍士官の聞き取りに応える回想形式で、物語が進むのなかなかの工夫。イベントを時系列でなぞるだけで映画が単調になるのを防いでいる。
新選組はなぜか日本人に人気があり、数々の逸話もよく知られている。すでに観客が知っている話をあらためて映像化するのは難しいだろうが、テンポよくストーリーが展開していき飽きさせないのはよい。
主演の岡田准一のなりきり具合はすごい。持ち前の身体能力を発揮していた殺陣も見事だった。いま時代劇をちゃんと演じることのできる俳優を上げれば、確実のそのひとりに名が挙がるだろう。
他のキャストでは近藤勇役を鈴木亮平が、芹沢鴨役が伊藤英明がそれぞれ演じていて、おおいに期待して見に行ったが、その期待を裏切らない演技だった。欲を言えば、芹沢鴨が暗殺される場面では芹沢が剣を取って戦ってほしかったが、まあいいだろう。
そして土方の想い人としてヒロインお雪(柴咲コウ)が登場する。ラストでは肉体関係を持つ描写もあったが、お雪はストーリーに必要なのかと思いながら見ていたが、ラストで土方の遺骸をお雪が迎えるシーンで終劇になるのは見事。一本とられたました。
新選組の映画としたとき、「山南敬助の脱走」や「土方と近藤との別離」などもう少し尺を取ってきちんと描いてほしかったエピソードはあるが、全体の尺を考えると仕方ないのだろう。雰囲気のよい映画なだけにもったいない気もする。
総じてよくできたアクション時代劇だが、古い時代劇が好きのおっさんとしては、カット割りが多くカメラワークが激しすぎる。もっと落ち着いた画作りでケレン味を出してほしかった。欲張りすぎかもしれません。