退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『監獄博徒』(1964) / 鶴田浩二主演の「博徒」シリーズ第2作

YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『監獄博徒』(1964年、監督:小沢茂弘)を鑑賞。東映によって1964年から1971年にかけて製作された鶴田浩二主演の「博徒」シリーズの第2作。典型的な任侠映画

「生地獄」と呼ばれた三池監獄では、上方組と九州組が対立していた。上方組を取り仕切るのは大阪・高田一家の貸元・立花猪三郎(鶴田浩二)であり、他方九州組は門司の萩原組の兄弟分・熊谷勇(大木実)である。新たに上方組に、梨岡組の親分を射殺して収監された文吉(山城新伍)が入ってくるが……。


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本作は任侠映画のなかでも「監獄モノ」に分類される。こういう典型的な任侠映画が、当時量産されていたのは今思うと不思議に思えるが、それが世相だったのだろう。名画座でも積極的に見ようと思う映画ではないが、いつも見ている「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていたので見てみた。

映画的に面白いという映画ではないが、2点ほど見どころを紹介したい。

まず里見浩太郎が冴えない役で出演していること。のちにテレビ時代劇なので主演を重ねた二枚目俳優が、三番手あたりで任侠映画に出演していたのは意外だった。妻が危篤と知り、三池監獄が脱走して捕縛されたのち看守から拷問されて獄死するという役回り。私の知っている里見の顔つきとはちがい最初わからなかったほど。下積み時代と言っていいのだろうが、めずらしいものを見た。

次の見どころは炭鉱の崩落シーンである。シャバにいる恋人が惨殺されたことにフンガイした山城が坑内で大暴れした結果、炭鉱が崩落する大惨事になる。山城自身も事故により致命傷を負ってしまう。この事故の描写がなかなか迫力があって感心した。低予算のプログラムピクチャーだったと思われるが、スタッフたちの奮闘ぶりがうかがえる。

この崩落事故で救命作業にあたった鶴田は、その功績により出獄が許される。出獄後、悪行三昧を繰り返す天津敏を討つべく殴り込みをかける。典型的な任侠映画そのもの。鶴田浩二大木実がふたりで殴り込みにするのかと思いきや、大木は早晩に天津に殺され、結局、鶴田と高千穂ひづるが殴り込みをかける。

ふたりはそれほど親密だったかなと思っているうちに、大立ち回りが始まり、鶴田は天津の片腕を落とすがトドメは刺さない。不完全燃焼のうちに終劇。ちょっと物足りない。