退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『月に囚われた男』(2009) / 月面基地においてワンオペで働く男の悲話

DVDで映画『月に囚われた男』(2009年、監督:ダンカン・ジョーンズ)を鑑賞。原題は単に"Moon"だが、邦題は「月に囚われた男」となっている。めずらしくナイスな邦題が与えられている。

近未来、月の地下資源を採掘し地球に送る事業が急成長を遂げていた。作業はほとんどが機械化されていたが、その管理のためサム(サム・ロックウェル)が一人で月面基地に派遣されていた。3年契約である。彼は人工知能「ガーティ」とともに黙々と業務をこなしていたが、契約満了まであとわずかというとき、不慮の事故が起こり……。


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2000年代のSF映画ではあるが、アイディア自体は古典的で60‐70年代の雰囲気を醸し出している。映像的には新しい技術や演出が用いられていて楽しめる。小粒ながら良質のSF映画に仕上がっている。大風呂敷を広げずにミニマムにまとめたのが奏功したのだろう。

事故後、主人公が真相を知るべき基地内を奔走し、ついに明かされ真実を知ることになる主人公の悲哀が胸を打つ。最後は人間の感情が大切といことらしい。

基地内のデザインは近未来というわりに古さを感じるが、実用面を突き詰めていくとこのようになるのかもしれない。とくに人工知能の端末が天井から吊り下げれている構造になっているは不思議な印象を受けた。もうちょっと洗練したデザインでもよかったのはないか。

繰り返しになるが、SF映画の小品としてよくできているので機会があればぜひ見てほしい。